『ふたたび日常へ』
[お勧め度:5]
とてもよかった。1巻からの中でも特に好きな一冊になった。
8巻では少しあざとく思われるような行事設定が多く、もう日常ではネタが見つけられないのかな、と残念に感じていたが、この巻でふたたび小さな日常に視点が戻った。
特に好きなのは、気球を見に行く事が決まるまでのやりとり。実際の生活ってこういうものだと思う。小さな予定一つとってもそれが成立する過程の中にすら、いろんな情景や、会話や、より小さな出来事や、笑えるエピソードやらがつまっているもの。小さい子供のいる生活は特にそうだと思う。
お出かけの約束をとりつける,ただその事だけで1章分の話が描けてしまう、この人はやはりすごい。
ついでに一言。「子供が面白いと言わないので,評価しない」というレビューが見受けられるが、掲載誌からして想定される読者は子供ではないはずなので、的外れ。
焼き肉でのやりとりなど、面白さは子供には分からないだろう。大人の言葉遊び。子供向けの絵本を描いている訳ではないのだから、もちろんありだと思うし、個人的にここはかなり面白かった。たとえば、飲み物注文シーンの、やんだ→ジャンボ→とうちゃん、に受け継がれる台詞の自然な流れ、ジャンボの視線が「お前はどうする?」的にとうちゃんの方に向けられているところなど、細部まで空気が感じられ読んでいて心地よい。またもや次が待ちきれない。