『『戯言遣い』の本領発揮』
[お勧め度:4]
『戯言シリーズ』の3作目,02年08月のノベルスの文庫化です.
これまで,ちょっとイメージの掴みづらかった『戯言遣い』について,
本領発揮,面目躍如と言わんばかりの立ち振る舞いが見られる1冊です.
また,作中でのある『アイテム』に引っ掛けた言葉まわしがなかなかで,
韻を踏むなどした,いくつかの章タイトルもあわせて楽しませてくれます.
反面,ミステリはトリックが後日談でさらりと語られるくらいの扱いで,
いわゆる,超人たちの繰り広げるバトルやその能力が前面に描かれており,
1→2作目のときもそうでしたが,それ以上に大きく変わった印象を受けます.
ただ,ヒロインとの掛け合いは楽しいものの,いささかやり過ぎの感もあり,
シリーズのはじまりから『過去』があるように匂わせている主人公についても,
本作でも気になる言動を見せつつ,未だに何も語られないのは不満が残ります….
とはいえ,その主人公について今後を暗示させるような分析がされていたり,
本作の登場人物が,外伝の『人間シリーズ』にたびたび顔を出しているあたり,
単純なボリュームは過去2作の半分ほどですが,『濃い』1冊なのかもしれません.
このシリーズはもちろん,『人間シリーズ』ももうしばらくつづくようですし,
ノベルス版で読みおえている人でも,改めて読み直してみてはいかがでしょうか.
なお,ノベルス版との違いは従来どおり,表紙,前口上,扉絵,アトガキですが,
本作では,さらに目次のページにも大きめのオリジナルイラストが描かれています.
また,文庫版のオリジナルのしおりは,『ある格好』をしている主人公と赤い人です.