『私は姪(めい)です』
[お勧め度:4]
今回、叔父である、『薔薇族』編集長・伊藤文學[いとう ぶんがく(本名なんですよ)]が出版した本は『裸の女房』(彩流社)。叔父の前妻「伊藤ミカ」が叔父と出会い、日本女子体育短期大学を出て公立中学校の体育教師になった後、1960年代に前衛舞踏家「アングラの女王」として活躍し、1970年に33歳でお風呂の酸欠で事故死するまでを描いた作品。
叔母が亡くなった当時、幼児だった私の記憶はうっすらしているが、なんとなく叔母のことは覚えている。この本には写真が満載で、伊藤家の歴史がつづられていて、伊藤家の関係者には必読書だ。伊藤家とはご縁のない皆さんには、1960年代の激しい時代をこんなふうに駆け抜けて生きた人がいたのだということを知っていただけたら幸いです。叔母が書いた日記がたくさん引用されているが、あの時代の素直な女性の気持ちがつづられていて、読んでいて、その少女らしいあどけなさが「まぶしい」かんじがした。そんなあどけない少女がなにゆえ裸で踊るようになったのか? ぜひ本書を手にとっていただけたらうれしいです。
★47ページと225ページにある写真が素敵なので、ぜひ見て欲しいです。
●6/7/09読了。叔母の気持ちが日記につづられていたが、フランス文学や禅に関心があった叔母がもしも生きていたら私と話題が合ったことだろうと思う。養女として育った孤独、結婚後の夫との関係で感じた寂しさ、子どもが生まれた喜びと母としての温かな気持ち、舞踏家として肉体を極めていった先にあった精神性と「死」が日記に克明に記されている。言葉が追いつけないぐらいの速さで進んでいく現実だったと思うが、叔母の知性と筆力の確かさが幸いし、叔母の人生とは何だったかが今回の本に結実したと思う。あるひとつの夫婦の形を叔父・叔母に見せてもらった。感謝している。